「囚われた女〜淫虐リンク〜」 2000.3発行　松文館 松文館の月刊誌「姫盗人」での初連載 9本をまとめたもの。 元々こちらが提示したタイトルは内容から付けた「リンク」というシンプルなものでしたが、 同社では作者にタイトルの決定権はあまりなくて、どちらかというと 直接的で卑猥な単語を羅列するのが（特にこの時期は顕著な）慣例でした。 それこそ「肉奴隷」とか「淫乱〜地獄」とかそういうタイトルを提案されることが多く、 その方がセールス上、読者にアピールするという経験則から取られている方針なのです。 でもさすがにそれは勘弁して欲しいので、このときも綱引きの結果これに落ち着きました。 メモを見返したところ、表紙の作画や本編の加筆修正は1999.11に 既に行われており、今では信じられないくらい早めに作業をしていたことになりますね。 発売後の評判や売上は意外によくて、未だにこれを越えられずにいます。 (＜後に2004.11発行の「こどもの玩具（おもちゃ）」で、ようやく越える成果を挙げました。）

「凌辱鬼ッ！」 2000.11発行　松文館 松文館からの単行本 2冊目。 当初、編集から提示されたタイトル候補は意外にもシンプルな「奈落」。 でも一般になじみが無くわかりにくい言葉だということ（私はそうは 思いませんが）と、アピールとして弱いという理由でやっぱり「凌辱鬼」…(T_T)。 小さい「ッ」と「！」は、どこか妙にしたくてこちらの希望でつけてもらったものです。 その頃、連載では鬼畜・凌辱系の題材がずいぶん続いていたので、 この本収録分にてとりあえずはいったんの区切りをつけようと思ってました。 その意味もあって徹底的にダークにして幕引きを図ったのですが、 やややりすぎ的な（凌辱というよりは拷問に近い）内容のものが多くなって、 編集側も「これはちょっと…」と引き気味でしたネ(^ ^;)。 この本のおかげもありまして「鬼畜のYASKA」の称号を賜わり、未だに拭い取れませぬ(T_T)。 （初めて会った大学の後輩に「YASKAさんて、鬼畜の…」と言われるとは…トホホ〜u)

お気づきの方も多いとは思いますが、
雑誌によって求められる題材には傾向があります。
例えば私の場合、「姫盗人」誌からはダーク系・鬼畜色の強いものを
要望されることが多かったため、「MUJIN」誌で描くものとは明確に差別化を
図ってきました。（もっとも最近ではさほどダーク系に限定されることはありませんが。）
またいろいろと約束事もありまして、Ｈシーンは全体の何割以上が必須とか、
必ず男女の本番シーンを入れねばならないとか、ランドセルはNGとか。
そのため描きたくてもOKが出ないものはたくさんあります。

そのひとつがSFやファンタジー的なものの排除です。
これらの題材は基本的に読者受けが難しく、たとえテレパシーとか
UFOなどのギミックをスパイス的に用いることでも却下されることが多いのです。
読者にとっては身近な世界観、それこそ「もしかしたら自分にも起こり得るかも」
という日常性がひときわ重要という訳ですね。
レズやふたなりも例外ではなく、なかなかOKはもらえません
（ふたなりってもっと描きたいんですけどね）。


（ただし言わずもがなのことですが、
これらの制限事は圧倒的な人気を誇る作家さんや、
しっかりとした固定ファンを獲得していたり特殊なジャンルに特化してる漫画家さんに
とっては、必ずしも絶対ではありません。）

「HAPPENING!」 2001.5発行　ティーアイネット 通算三冊目になる単行本。 出版社側のスケジュールで本来の発行月より前倒しになり、 急遽、松文館から原稿を一本 借り受けたりもしました。 とにかくこの本に関しては、カラー表紙製作の大苦闘につきます。（＞GALLERY　参照。） 表紙のバックはデザイン処理が採られていますが、元々は背景画も用意されていました。 どのようなデザインにするかを編集部の判断にお任せした結果、その背景画は没となったのですが、 代わりに採用されたデザインの背景色をブルーにするというのも、いささか議論になりました。 というのも、明るい青系統の色を背景色に使うと、販売成績が悪いというジンクス（傾向）が あるのだそうです。たしかにあまり見かけない配色ではある…う〜む(^ ^;)。 なおカバー下には表紙の没ヴァージョンやあとがきが掲載されているので、 お持ちの方の中でご存知なかった方は、カバーを外してご笑覧ください。

	「背徳家族」 2001.11発行　松文館 こちらが希望したタイトルは「家族協奏曲」（もしくは「家族狂騒曲」）。 連載時から（タイトルは毎回 微妙に変えていたが）「家族協奏曲」シリーズというつもりで 描いていた全6話の漫画がメインを占めているので、 必然的にこのタイトルを付けたいと思ったのです。 でもまぁそんな気取ったタイトルは即行却下(T_T;)！ たしか編集サイドは「乱交家族」とか「輪姦家族」とかを提案したんだったかな？ …で、双方の妥協点として「背徳家族」となりました(^ ^;)。 テーマはもちろん徹底的なインセストの果て。 そのため、父×娘、母×息子、兄弟間（この場合は兄×妹）という基本的な組み合わせを ひととおりこなせるような家族構成にした上でどんどんエスカレートさせて、 最終的に完全に近親姦がタブーではなくなった家族像（？）に決着させようと思ってました。 表紙についてはGALLERY　を参照。
	「おねだり少女」 2002.9発行　松文館 女体盛り・ふたなり・レズ・アナルFUCK中毒・妊婦などなど、 これまでになくライトでアブノーマルなバカ話オンパレードの一冊です。 そのなかでもメインを占めるのは「先生はアナリスト」に始まる全4話の中篇。 お察しのとおり、アナリストは本来の意にあらず(^_^)。造語ですな。 主人公の名前は萩原健壱…すなわちショーケン(証券）という誰も気づかない 符丁というか駄洒落に一人で喜んでいたりして。 表紙は初めての本格的CG作画に挑戦したものの、 不慣れなこととスケジュール的な問題から 「HAPPENING！」に続いて地獄を見ました。→GALLERY　を参照。
ちなみにこの単行本リリース直後に例の事件が起きました。 そう、いわゆる松文館事件です（私にとっては立場的にもいろいろ難しかったりもして…^_^;)。 詳細については割愛いたしますが、これによって大きな変化が生じます。 それまでの18禁出版業界では雑誌が検閲・指導されることはあっても、 単行本にチェックが入ったことはなく、それ故コミックスの方が消しが甘い・薄いというのが 出版社・読者双方の暗黙の了解であり、単行本のセールスポイントにもなっていたのです。 しかしこの事件以後、雑誌・単行本ともに消しは強化され、 かつてのように丸見え同然・消しは無いがごとく…といったことは無くなっていくのです。 関係ないですが、そう言えばかつてはコミケも、無修正天国だった時代がありましたっけ。 2005年現在、年月が経ったことにより一部では強気で消しを薄くし始めた出版社も ボチボチ出ているようですが、またそろそろ引き締めがかかるかも知れませんし、 そのテの噂はしょっちゅう流れてはいますね。
	「地下室の愛奴(あいど)」 2003.11発行　松文館 「おねだり少女」同様のバカ話の数々と、シリアス凌辱系の漫画が半々の内容です。 収録作全てが読みきりだったために多様すぎて、一冊の本としてトータルイメージできる 表紙＆タイトルが見つからず、方向が確定するまでがけっこう難産でした。 結局、巻末収録作の監禁されていた女の子をフィーチャーすることになり、このような形に。 対する裏表紙の方は、当初から収録作「Beside…」のメイドさんでいくつもりでいました。 イメージとしてはメンソレータムのナースをあしらった、あのシンボルマーク。 しかし無情にもラフを見た編集部から「もっとエロく！」のお達しが。 実はこれまでの松文館のコミックスでは、裏表紙のイラストは 購入者がレジで差し出しやすいように「エロくなく！」との指導があったのですが、 ここに来て「やっぱエロくないと売れない」と突然の方針転換！ おかげで従来の方針にのっとってイメージを固めていただけに、どうしても抵抗感があって、 それがイラストの出来自体にも顕れてしまったような気がします。
	「少女たちの欲情」 2004.8発行　松文館 「背徳家族」のときも多少難色を示されたのですが、基本的には連載ものというのは 編集側には嫌がられたりします。 というのも、前回の分を読んでないと筋がわからないというものは 一見（いちげん）さんには馴染みにくく、読み飛ばされてしまったりする リスクを伴なうからです。 それはたとえ「前回のあらすじ」を紹介したとしても変わりはなく、 読みきりものよりも敷居が高くなってしまうのはどうしても避けられません。 ですから連載モノを本誌に掲載する時には、出来得る限り 初めての読者が読んでもちゃんと話がわかるように…、 可能であれば連載1回1回それぞれが読みきりとしても成立するように 心がけて描いています。（もちろん「囚われた女〜淫虐リンク〜」や 「家族狂騒曲」シリーズのときも、そう意識して描いてました。） この本に収録されてる一連のお話も、連載時に編集サイドからは懸念を抱かれましたが、 上述のような観点から毎回タイトルも変えて、一編一編あたかも読みきりのように 装うスタイルをとったので、なかなか連続したお話だと気づかなかった人も 多かったのではないでしょうか。
なお、連載によるメリットというのも確かに存在します。 すなわちキャラクターの魅力で顧客を掴み、“引き”で興味を繋ぎ、習慣性を以って 読者を獲得するなどといった戦略ですが、これには強い読者吸引力(≒実力）が求められます。 しかも成人向け雑誌では一般誌よりも、購読が習慣化しにくいために より強い吸引力や作者の人気が必要であるなど、連載モノのハードルは高くなります。 が、成功すれば大きな効果が期待できるのも確かです。
	「こどもの玩具（おもちゃ）」 2004.11発行　ジェーシー出版 表題作でもある全4話からなる「こどもの玩具」シリーズは、「MUJIN」誌に 連載中からアンケートの結果も良好で、この単行本も好成績を上げてくれました。 ということで、ようやく「囚われた女〜淫虐リンク〜」を越えてくれた一冊です。 また、表紙・裏表紙ともこれまで出した単行本の中で、最も自分がイメージしたものに （装丁を含めて)限りなく近い仕上がりになってくれた、という点でも けっこう満足しています。 タイトルも希望どおりのモノが通りましたし、レタリングやレイアウトもイメージ以上のモノが 上がってきたので、デザインを担当してくださった方にもとても感謝しています。 なおカバー下には、より全裸に近いヒロインのイラストが描かれてますので、 ぜひ外して見てくださいませ(*^_^*)。 「こどもの玩具」シリーズ以外の収録作は、それまで単行本に未収録だった ものの中から、適宜セレクト。作品によっては2年近く前の漫画も含まれる為、 執筆当時には時間的理由などから充分に仕上げられなかったモノや、 技術的にあまりに拙くて、どうしても手を加えたいモノが多数混在する結果となりました。 そのため加筆･修正は当然の課題だったのですが、またしても作業スケジュールが厳しく、 その作業のほとんどを断念せざるを得なくなったのは、あとがきに記したとおりです。 （それでも「こどもの玩具」シリーズは、最優先で可能な限り手を入れましたが。） ちなみに実は「こどもの玩具」シリーズ自体は全6〜8話くらいで構成を組んでまして、 あの後の母子姦まで描く予定でいたのですが、諸般の事情から未完となりました。 でもとりあえずの結末らしくなるようにはまとめたつもりです。 続きを描くことがあるかどうかは、現時点ではちょっとわかりませんね。

「V.G.〜Assault〜」　1998.8.16発行 Y.A.P初の18禁本。夏コミにて。 題材は18禁格闘対戦ゲーム、「ヴァリアブル・ジオ」。 もともとはお付き合いのあるサークル「アップルBOXクリエート」さんの、 ゲーム美少女をメインにした18禁企画本「G-girl Shock！」(1994〜）の vol.2、3に寄稿させていただいた漫画「V.G.〜Night Fight〜」の 第1話、2話をまとめたもの。 最初は読みきりのつもりだったのですが、うっかり2話という形で続編を 描いてしまったことにより、全4話の構成になってしまいました。 更にもたもたしてるうちに（3話執筆が遅れてるうちに） 「G-girl Shock！」シリーズ自体が終了してしまい、本作は未完のまま 宙に浮いてしまったのです。 この本はその漫画を完結させる目的から、新規描きおろしの4話も含めて 全4話を一冊にまとめる構想でしたが、スケジュールの都合からやむなく断念。 分冊にして後半部は冬コミにリリースすることにしたのですが…。

		「V.G.II〜Buster〜」　1998.12.30発行 全4話中後半部の3,4話をまとめた下巻。 実はすでにできあがっていた1〜3話はもともとA4サイズの原稿で描かれていたため、 これをB4に仕立て直すためには全面的な調整・加筆が不可欠でした。 そして4話は初めからB4サイズで描きおろした訳ですが、 いずれの作業も遅れに遅れ、何とか発行にこぎつけたものの、 仕上がりにはかなりの不満が残る結果となったのです。 そこで当初の予定どおり全話を一冊にまとめた 「V.G.〜Assault・Buster〜」を製作することでのリベンジを決意するのですが …結局は次回コミケには間に合いませんでした。 場つなぎとして暫定的に「V.G.II’〜Buster〜」(1999.8.15発行)　として 増補改定を試みるも、さほどのグレードアップが達成できずに さらに後悔することに…。

「V.G.〜Assault・Buster〜」　1999.12.26発行 当初は1999.8のコミケ56での発行を目指していたのが果たせず、 年末にあらためてリリースした完全版。 その甲斐もあってエッチページも大増量、 その総ページ数は80ページにも及び、 まだまだ不満が無い訳じゃなかったけど、（１、2話も含めて）ある程度 納得のいく加筆・修正も施せて、ようやく完結しました。 おかげさまで第4版まで再発行を重ねることもできまして、 それなりにケリはつけられたかな、と…。