HAPPENING!


ティーアイネット刊「HAPPENNING!」の表紙原画。
実はこのとき初めてCGでの作画(着彩・仕上げ)・CD-Rのデータ入稿を
計画していたところ、経験の浅さを理由に編集から却下されてしまったという裏話がある(T_T)。
それ以前にも「アクエリアン・エイジ」の「スモーク・ディスチャージャー」などで
商業原稿にPhotoshopを使ったこともあるにはあったが、
確かにそれはまだ部分的なものでしかなかった。
おかげで地獄の手塗り作業に苦しめられることになる。

まずラフの段階で10種近くの試行錯誤し、やっと基本コンセプト・ポーズが
固まったところから、更に20種を越えるヴァリエーションを描き、
ようやく着色にもちこんで、数パターンを試して決定しかけた段階で上層部(^ ^;)から突然のダメ出し!
それからはひたすら彩色でNGに次ぐNG。無数のテスト塗りをやりとりすることとなった。
ようやくコピックエアブラシを用いたヴァージョンでOKをもらったものの、
これがまた失敗が許されない一発作業なので、もの凄い緊張したものだ。
(CGでの塗りと違って、生原稿での彩色は後戻りやバックアップを取ったりができないから。
特にエアブラシの場合、失敗をカヴァーする修正が物理的に不可能な表現も多いのだ。)
それこそ この太ももにわずかでも染みが出来たら原画自体が廃棄である。

この時期はもともと一ヶ月ほどの余裕があって、
この単行本の作業だけにかかりきりになれたのだが、
にもかかわらず表紙の清書に入れるまでにその1ヶ月を要してしまい、
最後は本編原稿に加筆・修正するために見込んでいた日程もほとんど使い果たすという、
とんでもなくキツいスケジュールになってしまった。
(そのため裏表紙や中表紙のカラーを描きおろすのも取りやめ、となるのだが、
カバー内の描きおろしだけは意地で描いて 間に合わせた。)
〆切りもブッちぎりまくって、地獄の進行を体験いたしました、ハイ。

そしてようやく出来上がったのが、この完成前の段階の背景付きテストパターン。
実際に発行された単行本と違って、元々は背景をつけるつもりだったのだ。
夕暮れの教室という淫靡なシチュエーションを惹起させたかったのだが、
編集判断で結局バックはデザイン処理ということに落ち着く。
(他にも体育館倉庫と言う案も提出しており、背景だけでも数パターンの試行錯誤を繰り返した。)
自分としては背景付き案がNGになったのはかえすがえす残念。

ちなみに実際のコミック表紙での色遣いも、本来の私の色彩感覚とはかなり異なる。
編集部から、原画と印刷の仕上がりとの発色の違いをアドバイスされた結果があれであって、
自分の感覚よりはかなり濃厚で赤を強調したキツイ色遣いを用いているのだ。
ここではより自分の感覚に近い色調に調整してみた。

また、タイトルロゴも"H"を強調したものを望んでいたので、
仮にこちらの意図どおりのものを再現すると、たぶんこんな感じになっていたのではなかろうか。


  



ちなみに下は、赤を基調としたヴァージョンのテスト刷り。青のものと比較検討した結果、没となった。