Z　SPECIAL

＊2枚組CD「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」の難点

「機動戦士Ｚガンダム」のＢＧＭは全曲商品化された、というのは
ある意味では正しくない。

作品を視聴していた人なら、
「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」(キング 2枚組CD　K26X-7156/7　1989.3.5リリース）の
disc.1の4ブロック4曲目「アロムの再来」（原文ﾏﾏ）A-7-2と
同じくdisc.1の7ブロック3曲目「遊撃」A-11-1の
リズムセクションやピアノ・フルートなどを除いた弦楽器のパートのみのBGMが
本編劇中で多用されているのをご存知だろう。(このことは「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」
ライナーノートの解説でもわざわざ触れているというのに！なぜに収録してくれないの～！)
しかもその2曲は、重要なキャラクターの死（カミーユの母、エルピー･プル）などで多用された
頻出使用曲であるにもかかわらず、なんと未だ商品化されていないのだ。
その性格からおそらくは本来準備されたBGMではなく、現場での使用に則して
リズム・チャンネルを削除して、いわゆるワークテープに作成されたものなのだろう。
だからこそレコード会社のサウンドトラックテープにはそもそも存在しない可能性はもちろんある。
しかしこれほどの重要曲なのだから、ここは是が非でもワークテープから音源を取り寄せて欲しかった。

この「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」という2枚組CDは他にも難儀なところがあって、
例えばdisc.1の3ブロック1曲目「新たな世界」D-3後半（第1話でファとカミーユ初登場シーンで使用された）
という曲が、ライナーの記載と違う別の曲(C-9)に誤って収録されてしまっているのだ。
しかもその(C-9)はdisc.2の8ブロック1曲目「ファと子供たち」として収録されているので、
結果的に(C-9)は重複収録され、(D-3後半)は未収録となってしまった。
これは完全収録を謳うアルバムに於いては痛い凡ミスだろう。
では(D-3後半)は入手できないのか？と言えばさにあらず。
「機動戦士Ｚガンダム　BGM集VOL.1」(キング KICA-2017 1991.3.5)の4曲目である
「新たな世界」の2パートめに収録されているので、両アルバムをそろえれば（！）コンプリは可能だったりする。

ところでその「機動戦士Ｚガンダム　BGM集VOL.1」は、そもそも「Ｚガンダム」本放送当時リリースされた
LPレコードアルバムのデジタル化商品なのだが、上述の4曲目「新たな世界」を聴くと面白いことに気がつく。
実は「新たな世界」は(C-7)と（D-3後半）と(C-9)の3曲をまとめたブロックなのだ。………、ネ(^_^)？
ここからは憶測なのだが、「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」を製作する際に、このアルバムを
カセットテープかDATなどに落としたものが参照用資料として現場で使用されていたのではないだろうか？
つまり選曲・構成者は(D-3後半)としてテープで「新たな世界」の2パートめを指定した。
これがエンジニアに伝わる段階でヒューマンエラーが起き、3パートめを(D-3後半）と誤認して
編集してしまった、そんなところが真相なのではなかろうか？違うかな(^_^;)？

＊手元の資料によると「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」は過去2回、
　1994.2.23(KICA-178/9)と1999.3.5(KICA-2043/4)に再リリース、再々リリースされている。
　上記文中での「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」の不備についての指摘は
　飽くまで1989.3.5の初リリース時（K26X-7156/7）のものなので、再発売に際して
　訂正・改善が為されたかどうかは未確認である。
　ご存知の方がいればご指摘願いたい。

閑話休題。またどういう訳か「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」では、主題歌を前期（Ｚ・刻をこえて）・
後期（水の星へ愛をこめて）ともTVサイズではなくワンコーラスという、レコードサイズを編集したものを
収録している。副主題歌（星空のBelieve）はTVサイズを収録しているのに、だ。
この処置はつくづく残念なことだし、そもそも理解に苦しむ。
思うに、このアルバムに先駆けて同様に主題歌・副主題歌をTVサイズではなくワンコーラスで
収録した「重戦機エルガイム　スペシャル」(キング 2枚組CD　K26X-7154/5　1989.2.5）のライナーに、
「TVサイズはモノラル録音のため、今回はレコードサイズを編集して収録」という記述があることから、
おそらくは「機動戦士Ｚガンダム　スペシャル」でも同一の方針で、モノラル録音だったTVサイズの
採用を却下してしまったのだろう。正直、ありがたくない配慮と言わざるを得ない。
「Ｚ・刻をこえて」や「風のノー・リプライ」は歌手の歌い方（ブレスなど）やアレンジがレコードサイズと
異なるので、編集しても再現できない独自のものなのだ。
とりわけサントラマニア、BGMファンであればまがいものよりオリジナルを渇望するものなのに、
マニアターゲットの商品でこんなことでは困る。（最近ではようやくTVサイズの価値や、
それを望むファンの存在が重視されるようになったのか、こういうケースは減りつつあるが。）

以上これらのことを鑑みるに、ここはひとつ
「機動戦士Ｚガンダム」映画化に併せて、完全版音楽集としてリニューアル・リリースするか、
(A-7-2)と(A-11-1）の弦パートオンリーBGMを映画版サントラで再演奏して収録してもらいたいものである。

ちなみに「機動戦士ガンダムZZ　スペシャル」(キング 2枚組CD　236A-7007/8　1989.12.21）では
後期主題歌（サイレントヴォイス）がTVサイズと表記されてはいるものの、
わずか30秒足らずのサビの部分だけの不可解なシロモノが収録されている。
これも何とかしてもらいたいもんですね。